1月刊行されたばかりのこの本,、面白く読みました。
岩波新書「出雲と大和—古代国家の原像をたずねて」
村井康彦著(国際日本文化研究センター名誉教授 1930年生れ)
奈良盆地にある三輪山の麓にある大神(おおみわ)神社は、大物主命(出雲大社の大国主命と同神)を祭神とします。本殿はありません。三輪山そのもの(神体山)あるいは、山頂にある磐座(いわくら)が信仰の対象です。
大和を前期と後期に分け、前期大和は出雲勢力が支配したという著者の説は明快です。「邪馬台国は出雲系の氏族連合によって擁立された王朝であった」と。著者は邪馬台国が大和朝廷に発展したのではない(非連続説)という立場をとっています。
前期大和:出雲勢力が支配、邪馬台国
後期大和:大和朝廷
ずいぶんすっきりしました。題名は「出雲から大和」としたらよかったのではないかなと思います。
著者は磐座を確認すべく、出雲の多くの神体山に登っています。お撮りになった写真は汗の結晶です。
・天狗山(熊野山) 熊野大社元宮 松江市
・須我山 須我神社奥宮 雲南市
・仏教山 出雲市
・琴引山 琴岩 飯南町
以下は本の感想からの提案です。
パワースポットである出雲の神社参拝がブームになっています。ブームは去ったらお終いです。これを神体山「登拝」に発展できないでしょうか。もっとパワーがあるはずです。
「三輪山に登拝するには、大神神社の摂社・狭井神社で入山許可の証しとして襷を受け取ることになっている」とあります。参考になりますね。また、登拝のあとに温泉があるのは喜ばれます。
2.4